カーボンニュートラルな社会の実現に
環境に配慮した荷役設備のソリューションで貢献
B社 様
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- 物流
- 製品
- 垂直スクリュー式アンローダ(VSC)
バイオマス燃料をはじめとする多品種荷役と優れた環境対策のサステナブルアンローダー
垂直スクリュー式(VSC)アンローダは、環境性に優れた多品種荷役可能なアンローダーとして多くの実績を有しており、特にホワイトペレットなど再生エネルギーとして注目されるバイオマス発電用燃料の荷役に最適な機械です。
掘削深さを一定に保つことで、容易に能力を維持でき、運転簡易化と能力向上を実現しています。
また、簡易な掘削機構の為、機体の軽量化により岸壁に負担をかけません。
依頼内容
納入前の
課題
バイオマス燃料の使用が活発になる中
木質ペレットをいかに近隣環境への配慮と短時間で
大容量の安定荷役を両立できるか
今日、カーボンニュートラルの実現に向けて世界中でさまざまな取組みがなされています。
ゼロエミッションを主眼目標としたバイオマス混焼発電所が次々と建設される中、バイオマス燃料荷役時の発塵が問題になっていました。
また、近隣への発塵を抑えながら取扱いが難しい木質ペレットを短時間で大容量の安定荷役ができるか、ということがお客様の解決したい課題でした。
課題解決
のための
提案
取り扱いの難しい『木質ペレット』をいかに荷役できるかを考え抜いた
垂直スクリュー式連続アンローダ(VSC)を提案
今回の取扱い物は『木質ペレット』という間伐材や製材上廃棄された木くず等をペレット上に固めた再生可能燃料です。従来主流とされていた石炭等に比べ、容易に粉塵が発生することや禁水性であることから取扱いが難しい燃料とされています。
1.発塵の抑制
グラブバケット式など一般的な従来の荷役機械の場合、荷揚げの際に粉塵飛散(発塵)するため周囲環境への悪影響という問題がありました。この問題を解決するため、垂直スクリュー式アンローダ(Vertical Screw Conveyor type Unloader,以下『VSC』と記載)という、取り口から垂直スクリューを回転させ荷を揚げていく方式のアンローダを採用しました。取り口が小さいという面から発塵の少ない方式であり、ブームコンベア内も密閉化を図り発塵の抑制に効果を発揮します。
2.タイヤ式走行装置
設置場所が公共岸壁であることから走行レールの設置ができず、また機体の常置ができないという制約からディーゼル発電機を機上に設置し、荷役位置までタイヤ駆動にて走行させる方式を取りました。
3.タブレットによる荷役状況の可視化
スクリューを操作する運転員は、船上からテレコンで運転を行います。スクリューの負荷率、ゲート開閉のインターバル時間、エラー表示等をタブレット端末でタイムレスに確認でき、効率的な運転に寄与しています。
4.木質ペレットの荷役搬送・保管システム
VSCから取り込まれた木質ペレットは機内シュートを介し、上部が開口された特注コンテナに直接積み付けられます。木質ペレットは利用する時期までそのままコンテナ内で保管されるため、雨水等の浸入を最小に抑えられるとともにサイロ等地上保管設備の削減が期待できます。(特許第5194037号)
REASON 主な選定理由
近隣住民・事業場への不経済性や地上側の給電能力を考慮した結果、VSCが最適であると判断し本方式に決定
VSCは木質ペレット、PKS(パームヤシ殻)等、発塵性の高い扱い物の飛散抑制に優れた機構を有するため、従来のグラブバケット式やバケットエレベータ式と比較して環境対策面で利点がありました。
発塵抑制を目的とした類似の方式として、ニューマチック式(空気の陰圧により荷を吸い上げる方式)がありますが稼働時の騒音や消費電力量が大きいという懸念点がありました。 近隣住民・事業場への不経済性や地上側の給電能力を考慮した結果、VSCが最適であると判断し本方式に決定しました。 またVSCはスクリュー部分を油圧シリンダにより押出・引込できるスイング機構を備えているため、荷役時に走行せずとも広い範囲を搔き込むことができる点も採用のポイントとなりました。
EFFECTS 導入効果
高い荷役効率と安定稼働を実現
設計段階からRMD(Renormalized Molecular Dynamics)法を用いたシミュレーションにより各種の検証を実施するとともにサンプルの解析を繰り返し行いました。
実機ではほぼシミュレーション通りの荷役効率を実現するとともに、発塵抑制効果や静音性等環境にやさしいVSCという期待された効果もが確認されました。
納入後さらに改善を行い、現在では高い荷役効率と安定稼働を実現しています。
COMMENT 担当者よりコメント
苦労の甲斐もあって高操業の荷役にも安定した稼働を実現する設備が完成。
世界的な課題解決の一翼を担うプロジェクトに
再生可能エネルギー荷役設備の初号機導入という、世界的な課題解決の一翼を担うプロジェクトとなりました。
当初は予期せぬトラブルがいくつか発生し各部門総力を挙げて解決にあたりました。
現在木質ペレットの取扱量を増やしており高操業の荷役にも安定した稼働を実現しています。
日本全国から本機の見学に来られ、すでに複数の受注をしています。